長年にわたりテレビ界で愛され続けた神田正輝が、ついに芸能界から姿を消すことを決意した。この突然の発表に、多くの人が衝撃を受けることとなる。昭和のスターとして名を馳せ、数々のドラマや映画に出演してきた彼は、最近その姿をメディアで見る機会が少なくなっていた。彼が出演していた人気番組『朝だ！サラダ』を降板するというニュースは、彼の体調悪化が原因ではないかと多くの人々に心配されていた。 

神田正輝は石原プロモーションに長年所属し、その忠誠心は業界内でも有名だった。彼自身も「石原プロで受けた仕事は、きちんと始末をつけたい」と語り、石原プロが解散するまではその信念を貫いていた。しかし、石原プロが2021年に解散した後、神田の体調は次第に悪化していった。その背景には、彼の精神的なダメージが大きく影響していたようだ。娘である神田沙也加の突然の死が、彼に深い悲しみと絶望をもたらしたのは間違いない。娘の死からほどなくして、彼自身も病魔に襲われることになる。  

2022年、神田は大腸の病巣が発見され、手術を受けることになった。健康には自信があり、スポーツをこよなく愛していた彼にとって、定期検診を怠ったことが病巣の発見を遅らせたのだという。

手術は成功したものの、彼の身体は完全には回復せず、その後も体調の悪化が続いていた。ファスティングをして体調管理をしていると語っていたが、実際には健康状態は思わしくなく、番組の出演を欠席する日々が続いていた。  

そんな中、彼のそばで支えていたのは、長年親しくしていた愛人とされる女性だった。彼女は一見すると控えめでありながら、神田にとってはかけがえのない存在であった。彼女は神田の病室に頻繁に出入りしており、面会が許された限られた時間の中で、彼の心の支えとなっていたという。二人は同居していないが、お互いの生活を尊重しながら適度な距離を保っており、その関係はとても深いものであった。神田にとって、娘を亡くした後の彼女の存在は非常に大きかったのだ。  

『朝だ！サラダ』を卒業した後、神田は自らの余命を穏やかに過ごすため、芸能界を去り、終末ホスピタルに入所することを決意した。病院では彼の日々の容態が注視されており、彼自身も自分の時間が残り少ないことを理解していたようだ。しかし、彼は決して自分の弱さを他人に見せることはなく、いつも前向きな言葉を発していた。病院のベッドの上でも、「俺は大丈夫だ、来年も頑張るよ」と笑顔で語る姿が印象的だった。

彼の知人たちも、彼の姿勢に感銘を受けつつも、その裏に隠された心の疲労を感じ取っていた。石原プロ解散後、神田は少しずつ芸能界での仕事を整理し、自らの人生を見つめ直していた。彼にとって、芸能界での成功はもちろん大きなものだったが、最後に望んだのは穏やかな余生だったのかもしれない。彼はかつての仲間やスタッフに対しても、感謝の気持ちを忘れず、常に誠実であり続けた。 

神田の最後の姿が公に現れたのは、彼が『朝だ！サラダ』を卒業する日のことだった。彼の体は以前よりも痩せ細り、かつての健康的な姿とは程遠いものだったが、それでも彼の瞳には力強い意志が宿っていた。彼は「何も語らない」と決めていたようで、記者たちからの質問にはほとんど答えなかった。しかし、その静かな決意が彼の美学を象徴していた。  

最後までプロフェッショナルとしての姿勢を貫き、誰にも迷惑をかけず、静かに芸能界を去ろうとする神田の姿には、多くの人々が感動し、彼の生き方に共感を覚えた。彼の人生には多くの栄光があったが、同時に多くの試練もあった。それでも彼は常に前を向き、自らの信念を貫いてきた。そして、愛人と共に穏やかな余生を過ごすことを選んだ彼の選択は、彼自身にとっても最も幸せなものであったに違いない。

余命わずかの彼にとって、これからの日々がどのようなものであれ、彼は最後まで自分らしく生き抜くことを決めていた。彼の人生の幕が下りるその時まで、彼の心の中には娘や仲間、そして彼を支えた女性への感謝の気持ちが溢れていたことだろう。