昭和の日本で、多くの人々に愛されていた車の一つに「トヨタ・カリーナ」がある。この車は耐久性とパフォーマンスの良さで知られており、長年にわたり家庭の重要な一部として親しまれてきた。ある一台のカリーナには、特別な物語が存在している。古希を迎えたオーナーが、いまだにこの車を現役で使用しており、しかもエアコンが壊れたままで乗り続けているのだ。
物語は昭和57年(1982年)に始まる。新車として登場したカリーナは、すぐに購入され、現在に至るまで大切に乗り続けられている。当時、このカリーナは家族のために購入されたもので、特に当時の甥の営業成績を助けるために選ばれたという背景がある。
その車両は「ツインカムターボ」エンジンを搭載したモデルで、当時としてはかなりのパワーを誇っていた。軽快な走りを提供し、信頼性の高さも兼ね備えていたため、このカリーナは長い年月を経てもなお現役で走り続けている。
時間の経過とともに、当然ながらこのカリーナにもいくつかの不具合が生じた。特に大きな問題は「エアコンの故障」であり、これは現代の猛暑を考えるとかなりの試練だ。しかし、この問題にもかかわらず、オーナーはカリーナを手放すどころか、むしろこの困難な状況を楽しんでいるようだ。
夏の暑い日、エアコンの代わりに車内には「団扇(うちわ)」が常に備え付けられている。エアコンのない車内はまさにサウナ状態だが、それでもこのカリーナは手放されることなく現役で活躍している。オーナーは「エアコンがなくても走れる」という自信に満ちた姿勢で、この車との生活を続けている。
このカリーナが特別な理由は、その性能やデザインだけではない。もちろん「ツインカムターボ」エンジンは当時の技術の結晶であり、多くのドライバーに愛されていた。しかし、この車が今も大切にされている背景には、それ以上のものがある。
それは「思い出」と「絆」である。カリーナは単なる車以上の存在であり、購入当時の思い出や家族との時間がこの車と共に刻まれている。
オーナーにとって、車は過去の出来事を呼び起こす象徴的な存在であり、それが今も手放されない理由の一つだ。
カリーナが長年にわたり愛され続けているもう一つの理由は、その頑丈さだ。現在でもエンジンはしっかりと動き、多少の故障があっても修理を重ねて今なお走り続けている。この「壊れにくさ」は、現代の車と比べても特筆すべき点であり、特に愛車を大切にする日本人の心に訴えかける部分でもある。
現代の車と比較すれば、カリーナの技術は当然古いものだ。エアコンのない車内で夏を過ごすことなど、今の時代では想像できないかもしれない。しかし、オーナーにとって、この古い車であること自体が魅力の一つである。現代の便利さに頼らず、手間を惜しまずに使い続けることで、車との深い絆が築かれているのだ。
この姿勢には、昭和の頑固さと同時に、現代の合理性とは異なる価値観が見て取れる。車を新しいものに買い替えるのではなく、今あるものを大切に使い続ける。これこそが、現代社会に忘れ去られた「ものを大切にする精神」ではないだろうか。
引用元:https://www.facebook.com/groups/242658989258452/permalink/2451712381686424/?sfnsn=mo&ref=share,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]