武田モーターサービスに、初代フィアット・パンダが運び込まれてきました。その車は、どうやらオーバーヒートを起こしてしまったようで、エンジンルーム内には冷却水が噴き出した痕跡が見られます。だが、よく観察してみると、ただのオーバーヒートとは様子が異なるのです。
車が運ばれてくる直前、持ち主が車検を受けた際、ラジエーターからの水漏れが発見されたそうです。その時、修理の一環としてラジエーター漏れ止め剤が添加されました。この作業で水漏れは止まり、車検も無事に通過。しかし、しばらく走行した後、今度はオーバーヒートを引き起こしてしまったのです。
エンジンルームを開けたところ、冷却水が様々な部分に白い粉のような物質を残しているのが確認できました。この白い粉、実は冷却水に混ざった漏れ止め剤の成分が蒸発し、堆積したものです。通常、漏れ止め剤は水漏れ部分を固めて補修することが目的ですが、時には他のエンジン部品や冷却系統に悪影響を及ぼすことがあります。
フィアット・パンダに使用された漏れ止め剤も、どうやら期待された効果以上の影響を及ぼしてしまったようです。
漏れ止め剤が冷却水とともにラジエーターやホース内部を巡ると、冷却系統の狭い部分、特に細い通路やポンプに詰まりが生じることがあります。今回のフィアット・パンダでも、ホースや冷却ラインの内部が白い粉で覆われており、冷却水がスムーズに循環できなくなっていたのです。
ラジエーター内部を取り外して清掃を始めると、その影響は想像以上に広がっていることが分かりました。漏れ止め剤は、一見効果的な応急処置のように見えますが、長期的にはエンジン内部の各部にダメージを与え、最終的にはオーバーヒートを引き起こすリスクがあることを再確認させられました。
漏れ止め剤は、急場を凌ぐための便利なツールですが、その反面、確実な修理には程遠い方法です。ラジエーターに水漏れがある場合、根本的な解決策としてはラジエーターの交換や修理が必要です。漏れ止め剤の使用は、短期間であれば効果的かもしれませんが、冷却系統の他の部位を詰まらせたり、冷却性能を低下させる恐れがあります。
武田モーターサービスでは、エンジンルームの徹底的な洗浄作業を開始し、冷却系統のすべてのホースや部品をチェックしました。
その結果、冷却ラインの一部が完全に詰まってしまっている箇所が複数見つかりました。これらの詰まりは、漏れ止め剤が原因で形成されたものである可能性が高く、冷却水の流れを完全に遮断してしまっていました。
フィアット・パンダのオーナーには、漏れ止め剤が一時的な解決策であり、恒久的な解決策ではないことを説明しました。特に、初代フィアット・パンダのようなクラシックカーにおいては、冷却系統のメンテナンスが車両全体の耐久性に直結します。長期にわたって愛車を維持するためには、信頼性の高い修理方法を選択することが大切です。
冷却系統のメンテナンスは、車の性能や寿命に大きく影響します。漏れ止め剤の使用は、緊急時の対応として便利ですが、それに頼りすぎるとトラブルが連鎖的に発生する可能性があります。特に高温で走行することが多い日本の夏の気候においては、冷却系統の詰まりが引き起こすオーバーヒートは致命的な故障の一因になり得ます。
初代フィアット・パンダのオーバーヒートは、漏れ止め剤の過剰な使用によるものでした。今後、車のメンテナンスを行う際には、応急処置に頼るだけでなく、専門的な点検と適切な修理を心がけることが重要です。
特に古い車両を大切にするオーナーにとって、こまめな点検と正確な修理が、愛車の寿命を延ばし、安心して走行できる未来を守る鍵となります。
引用元:https://www.facebook.com/AutocarJP/posts/pfbid0BqBYh4MesePfRsNFz4ZoK4msGNaQdbHUj71CsaEDgGUSQeePrptVntQLJX6X1xprl,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]