日本は、治安が良く、犯罪率が非常に低い国として世界的に知られています。特に、日本の「無人販売所」は、他国の人々から見れば異質な存在であり、そのシステムがどのように成り立っているのか、不思議に思う人も多いでしょう。そんな中、あるイギリスの有名なテレビ局が、日本の無人販売所を取材し、その奇妙なシステムについて検証するため、日本を訪れることになりました。

イギリスでは、万引きが深刻な社会問題となっており、特にセルフレジの導入によって被害が急増しています。イギリス国内の万引き被害額は2022年に約1,700億円にも上り、店舗の閉鎖を余儀なくされるほどの打撃を与えています。このような状況の中、日本の無人販売所が本当に機能しているのかを、イギリスの撮影隊が疑念を抱きながら調査することとなったのです。

無人販売所の初取材 ― 驚きの始まり

イギリスの撮影隊が日本に到着し、まず目にしたのは、田舎の道路脇にひっそりと佇む無人販売所でした。そこには新鮮な野菜や果物が置かれており、販売者はどこにも見当たりませんでした。棚には小さな料金箱があり、購入者は自分で商品を選び、代金をその箱に入れるという非常にシンプルなシステムです。

撮影隊の一人が、画面の中でこう呟きます。「あの老人はなぜ商品を置いて立ち去ったんだ？ まるで、盗んでも良いということじゃないか！」その言葉に、他の出演者たちも驚愕し、無人販売所がどうやって成り立っているのか信じられない様子でした。彼らの目には、このような無防備な形で商品を放置することが、非常に危険に見えたのです。

「30分も経たないうちに、全ての商品が盗まれるだろう」と、彼らは嘲笑しました。実際、イギリスではセルフレジが導入されてから万引きが急増し、商品が消えるだけでなく、代金も払われないという現実があります。だからこそ、彼らは無人販売所が機能するはずがないと強く思い込んでいたのです。

イギリスの現状 ― 万引きと戦う小売業界

イギリスでは、万引きが日常的に発生しており、特に大型の小売店や高級デパートが標的になっています。セルフレジが普及したことで、監視の目が緩くなり、窃盗がより容易になったのです。エスター大学の研究によると、セルフレジが原因で発生する商品損失は、全体の3分の1から4分の1を占めるとされています。

イギリスの小売店では、万引きを防ぐためにセルフレジの利用を会員制に限定したり、商品数を制限するなどの対策を講じていますが、それでも窃盗は後を絶ちません。

組織的な犯罪も増加し、警察は窃盗グループを相手に厳しい戦いを強いられています。このような背景があるため、イギリス人にとって、日本の無人販売所というシステムは到底理解できないものでした。

撮影隊の驚愕 ― 日本の無人販売所の真実

そんな疑念を抱えながらも、イギリスの撮影隊はさらに取材を進めます。彼らが訪れた無人販売所は、周囲に監視カメラがあるわけでもなく、人の目が常に光っているわけでもありません。誰も見張っていないにもかかわらず、商品が整然と並べられており、通りがかった人々が代金を箱に入れて商品を持ち帰る様子が映し出されました。

それでも撮影隊は「どこかに隠しカメラがあるはずだ」と疑い、無人販売所の周囲を必死に探し回ります。しかし、カメラはどこにも見当たりません。実際にこのシステムが成り立っているという事実に、彼らは次第に驚きを隠せなくなっていきます。

そして、撮影中に一人の老人が無人販売所に現れました。彼は慎重に商品を選び、財布から代金を取り出して箱に入れ、商品を持ち去ることなく立ち去りました。この光景を目の当たりにした撮影隊の一人がこう呟きます。「信じられない…一体どうやってこんなことが可能なんだ？」。

日本の民度が支える信頼のシステム

撮影隊が驚愕した理由は、日本の「信頼の文化」にあります。日本では、社会全体が他人を信頼することを前提に成り立っており、その結果として無人販売所のようなシステムが成立しているのです。このシステムは、単に商品を放置しているだけではなく、人々が自らの道徳心に従い、正しく行動することを前提としています。

一方で、イギリスや他の国々では、このような信頼に基づくシステムは難しいとされています。万引きや盗難が多発し、監視や対策が必要とされる社会では、無人販売所のような仕組みは危険すぎると考えられているからです。実際に、イギリスの小売業界では、人員削減とセルフレジの導入が犯罪増加に繋がっており、その損失は莫大なものとなっています。